テレビや雑誌にあふれる食の情報に惑わされず健康と食の情報を適切に利用するには？―食べ物や栄養が与える健康への影響を過大評価する「フードファディズム」の研究で著名な群馬大学名誉教授の高橋久仁子先生の学習講演会が６月４日、奈良県文化会館で開催されました。この講演会は総会記念学習会としてＮＯＰ法人なら消費者ねっとの主催で行われ、奈良県と奈良県生協連が共催、奈良市が後援しました。
　会場には６１名の消費者が集まり、熱心に高橋先生の話に耳を傾けました。高橋先生は、現在巷に氾濫している食と健康に関する過大な広告宣伝に具体的にメスを入れながら、「キャッチコピーは行間を読んではいけない」「健康食品で健康は買えません。これさえあればＯＫ，という食品などありません」と、私たちがともすれば信じてしまいそうな情報の落とし穴を警告されました。そして、「健康な食生活の基本は、必要な栄養素を過不足なく摂取すること」であり、消費者自身の情報の見極めとバランスの良い食生活の大切さを強調されました。参加者からは、「色々なサプリメントに毎日動かされることが多かったので、その内容がよくわかり、食事をしっかりとりたい。」「宣伝広告に惑わされて商品を購入している自分に気づきました。」などの感想が寄せられました。
　また、本年３月に策定された「奈良県消費者教育推進計画」について奈良県くらし創造部消費・生活安全課の勝井康晴主幹から説明がありました。奈良県では高齢者のトラブルが多発していますが相談窓口の認知度は低く、教育の現場でも消費者教育の教材が少ないなどの悩みがあります。これらの現状を踏まえ、市町村や学校、消費者団体等の連携協働により消費者教育を体系的総合的に進めるために３年間の計画として策定されました。この計画の推進により今後の学習や啓発の場がますます活発になっていくことが期待されます。